エプコの中期経営計画を詳細解説-10

セグメント セグメント別売上高 セグメント別営業利益率
2020年実績 2025年目標 2020年実績 2025年目標
 D-TECH事業 22.2億円 43億円 20.8% 26.0%
 H-M事業 12.2億円 38億円 26.7% 27.0%
 E-Saving事業 5.2億円 19億円 2.6% 6.0%
 持分法投資損益
 TEPCOホームテック
(37億円) (100億円) ▲0.1億円 2.0億円

( )はTEPCOホームテックの参考数値

今回策定しました2025年を最終年とする中期経営計画では、2020年実績と比較して、売上高2.3倍(年平均成長率17.9%)、経常利益率+9.4P、ROE+8.2Pを目標にしており、建築DXで既存事業をベースに高付加価値化することで、筋肉質の企業体質への転換を目論んでおります。

セグメント別では、D-TECH事業は設計サービスを3次元BIMでクラウド化し、建築工事のプレファブ領域拡大で建築工事を合理化することで、売上高2倍、営業利益率+5.2Pというバランスの取れた成長を計画しております。

また、H-M事業ではメンテナンスサービスをCRMでクラウド化し、居住者・住宅会社・修理会社をアプリでつないで効率化し、修理データのAI解析でメンテナンスサービスを高付加価値化することで、売上高を3倍に引き上げることを目標にしております。

更にE-Saving事業では、東京電力HDが掲げる脱炭素社会の実現に向けた電化戦略において、その受け皿となるTEPCOホームテックの受注が拡大し、TEPCOホームテックを施工面で支えるエプコグループ傘下のENE’s社の売上高も3.6倍、営業利益率+3.4Pに達する計画をしております。

持分法適用会社であるTEPCOホームテックの売上高は、37億円から100億円を目論んでおり、持分法投資損益も2億円となる目標を掲げております。

次回からはこれらの中期経営計画を達成するために必要な、セグメント別の事業戦略について説明させていただきます。

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エプコの中期経営計画を詳細解説-9

住宅産業の事業環境が大きく変化する中でエプコが取り組む事業戦略は、デジタル技術を活用して住宅産業が抱える構造的な課題を解決するソリューション提供です。

エプコの既存事業は従来からも課題解決型サービス(設備工事のプレファブ化で施工を簡略化、住宅のメンテナンスサービスで居住者と住宅会社を24時間365日サポート)ではありますが、ここにデジタル技術を加えることで既存事業を高付加価値化し、従来では実現できなかった領域までサービス提供することが可能になります。

具体的には新築領域で設計サービスを手掛けるD-TECH事業においては、従来の2次元CAD設計図を3次元BIM設計図にアップグレードいたします。設計図面を3次元化することで設計段階において施工内容を細部まで表現できるようになり、例えば従来設計図では手間の掛かっていた水回りの排水配管工事をプレファブ化できるようになります。

排水配管をプレファブ化することで現場での施工簡略化が図れ、職人の高齢化や職人不足といった課題解決への貢献が可能です。

更にメンテナンス領域でサービス提供するH-M事業では、これまで居住者からの修理依頼は全てコールセンターで対応しておりましたが、コールセンターと併用してアプリによる修理対応サービスを提供いたします。更に修理会社ともクラウドで情報共有することでスピーディーな修理対応を行いつつ、修理データはAIで解析し、施工や製品の品質分析に加え機器交換予告など、これまで実現できなかった修理データマイニングへの展開が可能になります。

このようにデジタル技術を活用することで、コールセンターサービスから居住者・住宅会社・修理会社をつなぐCRMプラットフォームサービスへの進化を図ってまいります。

そしてTEPCOホームテックを管掌しているE-Saving事業においては、太陽光パネルや蓄電池、エコキュートなどの電化機器をサブスク型(初期費用ゼロ円で設置し、利用料で回収するモデル)で提供することで、電化住宅を普及させ、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

更に、CRMサービスを提供している住宅会社と連携して、既存住宅のお客さまへ電化リフォームを共同提案するなど、ストック住宅の家歴を活用したビジネスモデルの構築を図ってまいります。

エプコではこれら3つの事業を通じて、SDGsへの具体的な取り組みを行ってまいります。

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エプコの中期経営計画を詳細解説-8

本日からは中期経営計画の内容について説明させていただきます。

まず始めに住宅産業の事業環境については、大きく4つの対処すべき課題があると考えております。

1つ目は労働生産人口の減少により建築現場を支える職人の高齢化と職人不足で、労働力と技能の確保が課題であり、これらへの対応策が急務であると考えております。

具体的にはプレファブ化による施工の簡略化で高度な技能を有さなくても建築工事が可能な新工法開発や、デジタル技術を活用した業務の効率化、職人を融通し合う仕組みなどの構築が必要と考えております。

2つ目は少子高齢化で新築需要が減少する中、既存住宅のストック増加に対応したビジネスモデルの構築が急がれております。

これまでの住宅産業は新築依存型で、経営指標から事業構造、業務システムまでもが新築を中心に組み立てられてきましたが、今後はストック住宅を最大活用する仕組みの構築が必要と考えております。

3つ目は脱炭素社会の実現に適応した省エネ住宅の提供であり、新築住宅ではZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)、既存住宅では省エネリフォームの普及加速が求められております。

省エネ住宅の課題は初期費用の増加であり、サブスクリプション型モデルのように初期費用を下げて、経済メリット(光熱費の削減分)からランニングで初期費用を回収する新たなビジネスモデルの構築が必要と考えております。

4つ目はSDGsやESG投資に見られるように、住宅産業においても事業を通じて社会的価値への貢献を積極的に行っていかないと生き残れない時代に入ったと考えております。

このように住宅産業は抜本的な構造変革が必要な段階であり、エプコとしても構造変革を先導する事業戦略を実行してまいります。

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