2022年のご挨拶

皆さま

新年明けましておめでとうございます。

2021年はコロナとの戦いに終止符を打った一年と考えておりましたが、昨年末に新変異株の発現により世界的にも緊急事態モードが鮮明になり、改めてコロナとは共存しながら経済活動や日常生活を築いていく、withコロナの時代に入ったと実感しております。

一方で、世界的な地球温暖化対策も待ったなしの状況で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みも更に加速しなければなりません。

コロナや地球温暖化が我々に問いかけているのは、これまでの常識、現状の打破をしなければ、明日の未来はない、ということだと受け止めております。

これを企業に置き換えて考えてみますと、これまでの企業が生み出す価値は生産性など経済価値が中心でしたが、これからの企業は経済価値に加え、環境価値をセットで提供しなければ企業としての存在価値がない、ということだと思います。

この経済価値と環境価値を併せ持って実現する手段がデジタル技術であり、リアルな現場を支える事業基盤だと考えます。

これからの企業に求められる経済価値と環境価値、この2つの価値提供の実現には、パーパスを共有する企業とのパートナーシップ連合の強化を図ることが大切です。

そして、2050年までの30年間の礎を築くのが2022年であり、パーパスを共有したパートナーシップ連合と、脱炭素x建築DXを軸に、住宅産業の変革を実現したいと思います。

2022年は脱炭素x建築DXによる住宅産業の変革をより具現化するために、次の3本柱を軌道に乗せたいと考えております。

1つ目はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)対応です。

TCFDとは企業の気候変動への取組みや影響に関する財務情報についての開示のための枠組みで、東京証券取引所のプライム市場上場企業は、2022年4月よりTCFD提言に沿った開示が求められることになります。

具体的には、①ガバナンス②戦略③リスク管理④指標と目標の4項目に関する開示が求められ、気候変動に対応する取締役会の体制、気温上昇や規制強化で財務に与える影響、温暖化ガスの排出削減に向けた計画を、コーポレート・ガバナンス報告書に記載することになります。

特に住宅産業はすそ野が広く、営業・設計・資材調達・現場施工・入居後の維持管理と、各スコープにおいて温暖化ガスの排出量を数字で把握し、削減計画を示す必要があります。これは既存の建築生産システムでは算出しづらく、BIMクラウドサービスでTCFDに必要なデータサービスを提供してまいります。

2つ目はストック住宅(既存住宅)のゼロエミッション対応です。

日本のストック住宅総数は約5,600万戸あり、このストック住宅の省エネ化・再エネ化なくして脱炭素と防災社会の実現はあり得ません。ストック住宅の高断熱化(樹脂サッシなど)・高効率設備化(エコキュートなど)・再エネ化(太陽光パネル)・EV化を実現するにはイニシャルコストが必要で、ストック住宅の脱炭素化に向けた大きな課題でもあります。

この課題解決にはエプコが手掛けるCRMクラウドサービスにより家歴データを分析し、経済効果が見込めるストック住宅を抽出して、TEPCOホームテックのエネカリモデル(初期費用ゼロ円で太陽光発電システムなどの電化機器を設置し、利用料でお支払い頂くサブスクモデル)との相乗効果で、ストック住宅のゼロエミッション化に貢献してまいります。

3つ目は脱炭素と防災社会の実現に向けた電化戦略です。

この脱炭素と防災の取り組みとして、東京電力ホールディングスが電化戦略を打ち出しており、TEPCOホームテックのエネカリモデルと電気料金をパッケージにした電化サービスを提供していく方針です。

一方で、企業はカーボンニュートラル(CN)への取り組みを加速しており、CNソリューションを住宅事業者などの企業にダイレクトに提供する、コーポレートPPAといったビジネスモデルを構築して、電力小売りに変わる新たな収益機会を創り出す年にしてまいります。

これにより脱炭素と防災社会の実現に貢献する電化事業を、東京電力グループ全体で推進してまいります。

2022年はこれらの脱炭素x建築DXを具現化し、業績へ反映させていく一年となります。

そのために、エプコグループとTEPCOグループがより一層の協業深化を図り、事業を盛り立てて参りますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

カテゴリー:エプコ

Cellid株式会社への出資の目的について

本日の適時開示にて、エプコがCellid株式会社(本社:東京都港区六本木、CEO:白神 賢、以下「Cellid社」)への第三者割当増資引受けによる出資を実施したことを発表しました。

今回の出資はエプコとCellid社の間で発展的な協業を図るために実施したものですので、今後の展開などについて概要をご説明させていただきます。

なお、Cellid社からも今回の資金調達に対するリリースが発表されていますので、こちらも合わせてご覧ください。

(参考)Cellid株式会社、第三者割当増資により、総額5億円の資金調達を実施、累計調達額は約7億円に

まず、Cellid社の会社概要についてご紹介させていただきます。

Cellid社は2016年10月に設立し、ARグラス用ディスプレイ・モジュール(眼鏡型スマートグラスに拡張現実の映像を投影)のハードウェア開発と空間認識システムの高性能SLAM(カメラの画像から作成した3次元空間情報と自己位置推定技術を活用し、様々なデバイスの3次元空間情報にAR情報を表示)のソフトウェア開発を進めておりました。

このハードウェアとソフトウェアの開発に成功したのが2020年12月30日で、当時の日経新聞にも掲載されております。

エプコとCellid社とは2021年4月下旬に第一回目のミーティングを行い、その後、両社で協業可能性や資本参加などについて検討をおこない、本日発表となりました。

次にエプコがCellid社と協業することで、既存事業とのシナジーやデジタルサービスの競争力向上にどのような効果を発揮できるのかについて、ご説明させていただきます。

これまでのエプコのサービスは建築に関わる設計とメンテナンスが中心であり、施工分野のサービスが希薄でした。

建築工事の品質担保は設計図通りに現場施工されているかがポイントですが、これまでは施工会社が撮影した工事写真のチェックと現場監督などによる現場検査が主体で、設計図面と工事写真との突合に手間がかかったり、現場に出向いて検査する業務の不効率性が課題となっておりました。

これらの課題を解決する手段として、Cellid社の高性能SLAM技術とエプコのBIMデータを融合させたオンライン現場管理が有効ではと考え、Cellid社と協議を重ねてまいりました。

サービスのイメージとしては、現場施工者がCellid社のハードウェアおよびソフトウェアが搭載された眼鏡型ARグラスを付けて施工すると、ARグラスのディスプレイに3次元BIM設計図が投影され、現場施工者はディスプレイに映し出された3次元BIM設計図を見ながら工事を行うことができます。

これにより現場施工者は3次元設計図で施工イメージを直感的に把握しながら工事を行うことができ、かつ、リアルな現場の施工状況とヴァーチャルな3次元設計図を重ねて確認することができるので、施工ミスの防止につながります。

一方で、現場施工者と同じ情報を住宅会社のオフィスで勤務する施工管理者のパソコンや現場監督のタブレットでもリアルタイム(録画でも)に確認することができます。

かつ、施工管理者からパソコンなどで作業指示すると、その情報が現場施工者のARグラスのディスプレイに表示されますので、現場施工者の作業効率向上にも役立ちます。

また、現場監督が現場に出向くことなく現場管理ができるので、現場管理業務の効率化につながります。

この他にもエプコのサービスとCellid社のデジタル技術を融合させることで、これまでにはない新しいサービスが提供できますので、CEOブログで随時ご紹介させていただきます。

当社におけるスタートアップ企業への出資は、ENECHANGE株式会社(東証マザーズ 4169)に続いて2社目となります。エプコと致しましては、中期経営計画に掲げた建築DXによる事業成長を図るために、様々な企業とのパートナーシップを強化してまいりますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。

カテゴリー:IR

2021年12月期 第3四半期における決算及び活動報告

本日、エプコの2021年12月期第3四半期決算について発表しましたので、第3四半期における決算及び事業活動の進捗についてご説明させていただきます。

なお、本日の第3四半期に合わせて投資家向け決算説明資料をWebサイトに掲載しておりますので、合わせてご覧ください。

(参考)2021年12月期 第3四半期決算説明資料

今第3四半期において、お伝えしたいメッセージは下記2点です。

(1)2021年12月期第3四半期実績の概況について

当第3四半期業績については売上・利益共に概ね計画通りで着地しました。2021年12月期の通期業績予想についても変更しておらず、通期計画の達成は可能と見込んでおります。

(2)中期経営計画の進捗について

 2021年2月に発表いたしました中期経営計画について、各事業ともに着実に実行しております。当第3四半期における実績について、下記のとおりご報告いたします。

1)BIMクラウドサービス

今年7月から新しい執行役員としてBIMサービスに精通する⾦柾昍(キム ジョンホン)が加入したことで当社グループによるBIMコンサルティング力が向上し、早速下記の受託が決定しております。

実績①集合住宅系の大手住宅会社でフルBIM設計のトライアル採用

既存取引先の大手住宅会社が手掛ける賃貸集合住宅で、建築及び設備のフルBIM設計を受託いたしました。

トライアルでは従来の2次元CADシステムから3次元BIM設計システムに変更することで、施工品質の向上や業務効率の改善効果を定量把握することを目的にしています。

 

実績②大手ハウスメーカーでフルBIM設計の支店採用

既存取引先の大手ハウスメーカーで手掛けるマンション物件で、建築のBIM設計を支店単位で受託いたしました。

マンションは量産モデルの戸建住宅と異なり、標準化やプレファブ化が限定的なため、BIMによる詳細設計で施工前に納まりを検討することなどを目的にしております。

 

2)CRMクラウドサービス

ハウスメーカー系不動産管理会社からメンテナンス業務を受託

大手ハウスメーカーが建築した賃貸住宅(アパート)を管理する不動産管理会社から、メンテナンスサービスを受託いたしました。大手ハウスメーカーは賃貸住宅の建築から入居後の不動産管理全般のサービスを提供しておりますので、今後、既存取引先への水平展開を図ってまいります。

 

3)電化サブスクサービス

分譲系及び注文系の大手住宅会社でエネカリの採用が増加

大手住宅会社や大手分譲住宅会社を中心に環境配慮型住宅への転換が進んでおり、住宅業界においても温室効果ガス削減に寄与する取り組みを積極的に推進する機運が高まっております。

この結果、TEPCOホームテックが提供する初期費用0円、月々定額の利用料で最新の省エネ機器が利用できるエネカリの採用も増加中であり、直近では、住友不動産様、野村不動産様、アーネストワン様などの採用が決定しております。

当該採用による受注増加は来期早々から顕在化するものと見込んでおります。

(参考)野村不動産の分譲戸建、プラウドシーズンでエネカリ採用

以上の通り、中期経営計画達成に向けた成果が各事業で出始めております。

今後の進捗状況につきましても、個人・機関投資家の皆様に対する説明会の開催や月次開示・英文開示を通じてご報告を行ってまいりますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

カテゴリー:IR