人的資本に対する取り組み
①経営戦略と連動した人材戦略
エプコグループは、パーパスとして「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」を掲げて、住宅のライフサイクル全般に関わる3つのサービス(設計、メンテナンス及び再エネサービス)を提供しております。 当該サービスはいずれもソフトサービスが中心であり、資本集約型産業ではなく知識・労働集約型産業であることから、当社グループにおけるもっとも重要な価値創造の源泉は人的資本であります。
また、当社グループは、住宅・建築に関する豊かな知見を有し、業界構造の変革と社会貢献を志す社員一人一人が能力をいかんなく発揮することと、 個々の能力発揮を通じて醸成される「団結」「共創」「越境」「寛容」の企業文化が当社グループの競争優位の源泉であると認識しています。
そして、当社グループの主たる事業領域である住宅・建設業界は、日本をはじめとする先進国で少子高齢化が進む中、デジタル技術を活用したイノベーションによる生産性向上及び世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すことが求められております。 当社グループが持続的に企業価値を向上させるためには、社会的なニーズに応える経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行することが不可欠と捉えております。
②人材登用方針
a.エプコグループが求める人材像
当社グループは「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」という当社グループのパーパスおよび中期経営ビジョンの実現に向け、建築・ITに関する豊かな知見を有し、業界構造の変革と社会貢献を志す人材を求めております。
エプコグループの人材像
- 当社グループ中期経営ビジョンの実現に向けて管理職として組織を運営する人材
- 建築及びIT等に関する専門性を活かして専門職として活躍する人材
- 社内外の関係者と協業して円滑なオペレーションを実現する人材
b.ダイバーシティの推進
当社グループは、前述した人材に幅広くご参加頂くために、国籍・人種・性別・価値観・働き方にとらわれず、多様な人材を登用し活躍する体制を整備しております。
グローバルな人材活用
当社グループは、2000年代初頭より中国での事業展開を開始し、 現在では設計サービスにおける生産設計拠点である東北部の吉林省吉林市及びアジアのシリコンバレーである広東省深圳市を中心にグループ全体で178名の社員が海外で勤務しており、外国籍従業員比率は27.0%であります。
また、当社は今後、日本で培った住宅領域での事業モデルを海外パートナーと連携して中国・東南アジア圏等に事業展開する方針であり、今後もグローバルに活躍する人材を積極的に登用する方針です。
なお、当該方針に基づき、当社の執行役員は4名のうち2名が外国籍(韓国及び中国)の人材を登用しており、従業員だけでなく経営管理職においても国籍・人種を問わず優秀な人材を登用してまいります。
従業員(男性・女性)の雇用状況)
当社グループでは、女性が仕事と家庭を両立しつつ、その個性と能力が十分に発揮できる職場環境をつくることは企業に求められる基本的役割の一つであると考えています。
また、当社グループは当社業務の特性上、男性・女性を問わず活躍できる環境であることから、従業員における男性・女性比率は概ね同数の人員構成であります。
(人数)男性343名、女性332名(男性50.8%、女性49.2%)※派遣社員を除く
③人材育成方針
当社グループの中期経営ビジョン実現推進にあたり、当社グループの求める人材像に基づき、1.次世代幹部育成、2.住宅・建築の専門人材育成、3.オペレーション人材育成、を軸に下記のような教育・研修を実施しております。
次世代幹部として組織を運営する人材に対する育成項目
- 組織をリードする職位に求められる業務執行能力
- BIM(Building Information Modeling)設計研修
- 住宅・建築・デジタル技術に関わる能力
- 社内外関係者に対する調整折衝・発信力
特に、チームリーダーは当社グループにおいて次世代上級管理職を輩出する重要セグメントと捉え、オリジナルに作成したeラーニングコンテンツを提供することで、管理職として欠かせない知識および考え方の浸透を図っております。
建築及びIT等に関する専門人材に対する育成項目
中期経営ビジョンに掲げる住宅ライフサイクル全体の最適化とSDGsへの取組みを実現するために、 それぞれの分野に精通した専門人材を当社グループの総力を挙げて育成する必要があると考え、BIM(Building Information Modeling)を学ぶ外部研修、施工現場研修、IT/DX勉強会等を実施しております。
円滑なオペレーションを実現する人材に対する育成項目
当社グループにおけるサービスは、住宅会社・エネルギー会社から設計・施工・メンテナンス関連業務を受託することが主たる内容であり、 オペレーション能力が競争優位の源泉であることから、円滑なオペレーションを安定的に行なうために、CAD設計やコールセンター業務に関するオペレーター向け研修を実施しております。
全ての従業員に対する共通基盤としての育成項目
当社グループにて採用・育成した人材が持てる能力を最大限に発揮するためには、信頼関係に基づき、より良い職場環境づくりに継続して取り組む組織風土が重要であると考えております。 当社グループでは、「エプコグループ行動規範」において不正や法令違反等の行為を許さない経営メッセージを伝えるとともに、 全ての役職員を対象としてコンプライアンス研修を定期的に実施することで、健全な組織風土の理解浸透に取り組んでおります。
今後も、従業員個々人の能力・スキル・キャリアビジョンに応じた柔軟な学びを提供することで、従業員がより一層、個々人が持つ能力を最大限に発揮できる体制を整備してまいります。
④社内環境整備方針
当社グループは、社員一人ひとりの活躍を企業の持続的な成長の原動力ととらえ、個々人が能力を最大限に発揮できるよう、業務内容やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にする取り組みを推進してまいります。
エンゲージメントサーベイの実施
当社グループは、当社グループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求することを経営理念として掲げており、社員の能力を最大限発揮できる環境を整備することを重視しております。 そこで、従業員からの声を幅広く聞くための仕組みとして、エンゲージメントサーベイを年に2回実施しております。
当該サーベイの結果は、人事制度の改定や職場の環境改善、従業員の異動等に活かしております。このほか、サーベイ結果に基づき、業務を円滑に遂行するためには社員同士の相互理解や交流機会を促すことも有益であるとの考えから、 公認部活動制度の新設や地域のイベントへの参加など社内コミュニケーション活性化に向けた取組みも実施しております。
柔軟な働き方を可能にする人事制度
当社グループは育児・介護と仕事を両立したい方、傷病や遠隔地に居住等の事情のある方にも、できる限り多様な働き方を提供したいと考えており、テレワーク、時短勤務といった働き方を選択可能にしています。 上記のような事情がない従業員に対しても、「テレワーク50」という制度を設けており、年間50日までテレワークを行うことができます。
また、当社グループでは産休・育休制度を整備し、復職支援も積極的に実施しており、実績として過去10年間(2014~2023年)における産休・育休取得者は延べ67名(復職率は92.5%)となります。 さらに、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が出来るよう、時間単位での年次有給取得も可能としております。
健康経営
当社グループは従業員一人一人が心身ともに健康な状態(ストレスに適切に対処でき、生産的かつ有益な仕事ができかつ、組織貢献が出来る状態)を維持するために社員の健康管理や健康増進の取り組みを積極的に推進し、 2021年度に健康保険組合東京連合会より健康優良企業認定「銀の認定証」を取得しております。
快適な職場づくりへの取り組み
当社グループのオフィスは従業員同士のコミュニケーションを促進し、快適かつ効率的に就業できる環境を重視しております。 拠点ごとに開放的なオープンスペースを用意し、休憩室としての用途に加え、社内イベントにも活用しております。
➄指標と目標
人的資本経営推進においては、テーマごとに2024年3月末時点における状態目標を定義しております。
人材登用に関する指標と目標
人材登用のテーマにおいては、女性管理職登用率25%を目標としてまいります。当社グループの男女比率はほぼ同数であるにもかかわらず、 管理職に占める女性割合は22.2%に留まっており、優秀な女性従業員の管理職登用割合を高めることは、当社グループの生産性向上に貢献すると考えております。
当該目標の達成に向けては、働き続けたい女性が家庭と仕事を両立し、意欲的にキャリア形成が出来る仕組みを整えることが重要であると捉えております。 そこで、2023年度より女性社員が集い、意見発信を行う場として女性活躍推進活動「ルミライズ」を立ち上げ、1か月に1回、定期的な活動を行っております。
人材育成に関する指標と目標
人材育成のテーマにおいては、リーダー研修受講率100%を目標としてまいります。
当社グループでは再エネサービスに経営資源を集中させる中で、グループ会社の業務領域が拡大しており、
これらを担う管理職人材の育成が急務となっております。そのため、チームリーダーをはじめとした管理職候補者を対象にしたリーダー研修を確実に行い、
今後は次世代幹部育成にむけた上級管理職育成プログラムを充実させ、実施してまいります。
社内環境整備に関する指標と目標
社内環境整備のテーマにおいては、健康診断有所見率50%以下を目標としてまいります。
当社従業員の平均年齢が41.4歳に達する中で、従業員と組織の活性化により業績向上を図るためには、従業員の健康維持は重要な経営テーマであると認識しております。
健康経営の推進に向けて、定期的な健康セミナーやウォーキングイベントへの参加等を実施してまいります。