2015年4月3日
先日、ドイツのフランクフルト市とリュッセルスハイム市の公営事業者であるStadtwerke(シュタットベルケ)を 訪問し、自治体が取り組む電力小売り事業について打合せをしてきましたので、本日はそのお話しをさせて頂きたいと思います。
今回、2つの都市のシュタットベルケを訪問した理由ですが、70万人の人口を抱えるフランクフルト市と6万人の地方都市であるリュッセルスハイム市の電力公営事業の違いを確認することにありました。
フランクフルト市が100%出資しているMainova社(シュタットベルケ)は、その傘下に発電会社、電力などの小売り会社、サービス会社を持ち、電力だけではなくガスや水道、熱の分野まで手掛け、発電についてはドイツ全土に供給する能力を備えており、大規模な公営事業を行っております。
一方のリュッセルスハイム市のシュタットベルケは、電力やガスは大部分をマーケットから購入して小売りを行う形態を取っており(一部、民間の再生可能エネルギー発電会社に出資)、その他の公営事業としては上下水道、公営バス、電話や通信事業を手掛けております。
ドイツの電力自由化は1998年に始まっており、それ以後に公営事業者が電力事業に参入しましたが、現在ではドイツ全土で約900社のシュタットベルケがあり、電力販売における市場シェアは20%程度を占めているとのことでした。
電力販売で多くのシェアを持っているのは既存の電力会社ですが、リュッセルスハイム市のシュタットベルケは2011年から電力販売を始め、わずか4年間で市内の電力販売におけるシェアを20%まで高めたので、市民が公営企業者によせる信頼度は相当に高いと感じました。
フランクフルト市のMainova社ではドイツの電力システム政策について説明頂き、概ね日本で構想されている内容と類似しておりますが、異なる点としては既に政策を実行しておりますので、課題も的確に把握しており、対策も具体的に打たれているので、日本も大いに参考になると考えております。
ドイツでは原子力や火力発電所などを減少させ、再生可能エネルギーによる発電比率を将来的には全発電量の80%まで高めるアグレッシブな目標を掲げて取り組んでおります。
発電が安定しない再生可能エネルギーを効率的に利用するシステムや技術も進んでいることから、この点についても日本に応用できると考えております。
弊社ではイギリスのケンブリッジ大学スマートシティ研究所と共同研究を締結しており、電力自由化先進国の状況をリサーチできる環境にありますので、その利点を活用し日本の電力小売り自由化への準備を加速しておりますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
カテゴリー:スマートエネルギー