エプコと福岡県みやま市が大規模HEMS事業で何をするのか!

エプコと福岡県みやま市

 今回は、大規模HEMS情報基盤整備事業で、当社と福岡県みやま市が取り組む事業内容についてお話しさせていただきます。

 この整備事業では、情報基盤の集約機能を構築する情報管理事業者(国内主要通信キャリアなど)、各家庭にHEMS機器を設置し家庭の電力データを集め集約機能へ送信するHEMS管理事業者、情報基盤からAPIを用いてHEMSの電力データとプライバシーデータを取得しサービスを提供するHEMSデータ利活用事業者の3者で事業運営をいたします。

 その内、当社と福岡県みやま市では、HEMS管理事業者とHEMSデータ利活用事業者の2部門で採択され、民間企業である当社と自治体が連携して大規模HEMS事業に参加いたします。

 まず、HEMS管理事業者としての役割ですが、福岡県みやま市の約2,000世帯の家庭にHEMS機器を設置いたします。次に当社で開発するHEMSデータをクラウドに集約するシステムで、2,000世帯のモニター宅のHEMSデータを数分間隔で取得いたしますので、大量の電力ビックデータを処理することになります。その膨大な電力データを情報基盤の集約機能に更に送信する役割を担います。また、大量のHEMSを統括して制御・管理する機能の妥当性やシステムの耐久性の確認することになりますので、各家庭のHEMSを管理する事業者として、より実践的で高度な運営が求められます。

 この役割を民間企業である当社と自治体のみやま市が担う目的は、HEMSを正確に設置し、きちんと制御・管理することで、家族構成や生活パターン、季節や天気の違いによる時間帯別の電力消費量を把握することが可能になります。また、太陽光発電やオール電化など設備機器の構成の違いによる電力需給状況も把握できることから、電力小売り自由化後に、自治体が電力小売りに参入する際には大変重要なノウハウになります。

 その意味においても、大量のHEMSを制御するシステムノウハウの蓄積や電力ビックデータを集約し取り扱うクラウドシステムの構築は、自治体などが電力小売りに参入し、小売り事業を持続的に運営するためにも必要不可欠なシステムモデルと言えます。

 次にHEMSデータ利活用事業者としての役割ですが、APIを用いて大規模HEMS情報基盤に集約されたHEMSデータとプライバシーデータを活用することにより、エネルギーマネジメントサービスや生活支援サービスを実際に行います。モニター宅の家庭には、電力データを利用するとこういうサービスが受けられるという実感が湧き、より身近に感じられるサービスを提供し効果を検証してまいります。

 具体的なエネルギーマネジメントサービスは、下記を予定しております。

①家庭用太陽光余剰電力買取りサービス

 太陽光発電設備が設置されている住宅に対し、HEMSから得られた電力データを基に太陽光発電の余剰電力を予測し、太陽光の余剰電力を市民から買取り、福岡県みやま市に販売するビジネスモデルを展開いたします。なお、太陽光発電の設備容量により全量の場合もあります。

②電気・ガス料金プラン診断サービス

 家庭のエネルギーを最適利用するため、HEMSデータと利用者の属性データを基に電気及びガスのエネルギー診断を行い、各家庭ごとにエネルギーの使用方法をアドバイスするサービスを行います。

③仮想電気料金プランと電気クーポンサービス

 電力小売り自由化を見据え、HEMSから得られた電力データを基に、福岡県みやま市独自の地域に適合した仮想電気料金プランを作り、モニター家庭に提示します。現時点では電力小売りは出来ないため、電力会社からの電気料金請求額と仮想電気料金プランでの仮想請求額の差額見合分を電気クーポンとして市民に提供し、福岡県みやま市で利用できるサービスを行います。

  次に生活支援サービスでは、 高齢者見守り・健康チェックサービスを提供していきます。

 全国的に高齢化が見込まれる中で、独居老人・介護老人の増加が見込まれています。本人はもとより、家族にとっても安否確認のニーズは高まると考えられています。HEMSから得られた電力データを基に、高齢者の様子を見守れるサービスを行います。

 これらのHEMSデータを利活用したサービスは、電力小売り自由化後には、電力とサービスがセットで提供されていくことを想定したものであり、自由化後は、電気料金に加え、サービス内容で電力小売り会社を選ぶ時代になると考えます。その意味においても今回の事業では、モニター宅が必要としているサービスは何かを検証してまいります。

  さて、次回は当社が考える大規模HEMS情報基盤整備事業の採択を契機とした、電力小売り市場参入についてお話ししたいと思います。

 

カテゴリー:スマートエネルギー