2018年11月21日
それではどうすれば経営者の良心を健全に保つことができるのでしょうか。
その答えの一つが、「徳を積む」、「足るを知る」ということではないかと考えております。
この二つは、社内向けのa route でも何度も紹介してきておりますが、人として真っ当に生きるために備えておくべき素養と思います。
経営者の前に、まず、その人が真っ当な人間なのか、が問われるのであって、特に上場企業であるパブリックカンパニーの経営者には欠くことができない素養であると考えます。
「徳を積む」とは、おごらない人間であるための修行といってもよいと思います。
組織を束ねるトップを社員が信頼できなければ、会社は一つにまとまるわけがありません。
故に経営トップは、おごらない人間であるために、日常生活の中で「徳を積む」努力を重ねる必要があります。
「徳を積む」には、人ぞれぞれのやり方があると思いますが、代表的な徳の積み方が掃除であると思います。
最近ではオフィスビルの管理上、清掃会社がオフィスの掃除を請け負っておりますが(エプコでも)、本来であれば、毎日働く職場を自分たちできれいに掃除するのは当たり前のことであって、職場の掃除は社員だけではなく、経営トップも自ら掃除をすることで、職場の動きや社員の仕事ぶりといった日々の気づきを得ることができます。
こういう日常的な努力の積み重ねが、人としての徳を積んでいくことにつながると思います。
特に経営者が日々掃除をすることで、経営者という立場に甘んずることなく、組織の一員としての役割を自覚することができ、自らを律することができるように思います。
ちなみに私も朝6:20分には出社して、人通りが多いごみ置き場の周りや入退出するドア付近の床や通路を、水雑巾で拭きながら徳を積んでおります。(かれこれ30年近く掃除を続けておりますが、なかなか、徳は積みません)
つづく。
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2018年11月20日
昨今、経営者にまつわる話題が世の中を騒がしておりますので、本日から3回に分けて、カリスマ経営者の求心力とガバナンスについてお話しさせて頂きたいと思います。
いつの時代もカリスマ経営者の求心力とガバナンスの両立は課題になっておりまして、今回の日産自動車に係る事件もその典型だと考えております。
著名な経営者であればあるほど、そのカリスマ性は抜きん出ております。
私が考えるカリスマ経営者の優れた点は、求心力があり、危機突破力があり、イノベーション力があり、改革力があり、推進力があり、経営に関する明確なヴィジョンを示し、組織を1つにまとめ上げて、即断即決で意思決定して、目標に向かって会社全体を前進させる力があります。
一方で、成果を上げ、永く経営に携わり、ブレない姿勢で経営にあたるカリスマ経営者に対しては、組織としてのガバナンスが効かなくなるデメリットもあるように感じます。
ちょっとおかしい、規程違反ではないか、と感じることがあっても、実績のあるTOPに物が言えず、内部統制や監査の機能が効かず、結果として法を逸脱してしまう事案もしばしば発生しております。
また、法を犯さなくても、意思決定の判断基準が独創的になりすぎて、判断ミスを重ねる結果も散見されます。
だからといって、経営トップを定期的に代える仕組みを作れば問題が解決するかといえば、また違う問題も発生してしまい、カリスマ経営者が代わった途端に業績が低迷してしまう企業もこれまで数多くありました。
こう考えると経営者の求心力とガバナンスの両立には名案がないのが現実であり、最終的には経営者の良心が健全であることが、この課題を解決する有効な手段であると考えております。
つづく。
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2018年9月28日
本日は建築設備の観点から、インドのマンション建築の現状についてお話しさせていただきます。
現在のインドの建築工法は、現場でコンクリートを打設する柱梁構造が主流で、住戸内部の壁は発泡軽量コンクリートで造作されております。
この建築工法は中国と同様で、構造躯体である床や外壁などを造る場合、鉄筋で配筋した後にべニア板で型枠を造り、その中にコンクリートを打設します。
注)このベニヤ材を使用した型枠は、型枠の造作作業に時間が掛ったり、型枠精度のばらつきによる構造躯体の品質低下、べニアの残材による環境への悪影響などの観点から、中国の工業化住宅ではべニア材に代わり鋼製型枠の採用が進んでおります。
そして建築現場の印象は比較的きれいで、排水管や給水管も整然と配置されており、設備設計図面を作成し、図面通りに現場で施工されていると感じました。
一方で、内壁(発泡軽量コンクリート)に溝を入れて配管や電線を埋設する施工方法は中国を含めインドも同様で、施工に手間が掛るほか、後あとのメンテナンスもしずらいので、日本のように石膏ボードを使用して中空壁を造り、その中に配管や配線を通す施工方法が良いと思うのですが、引き渡し後のメンテナンス性よりも、コストを抑えて販売を優先するデベロッパーの意識改革を待つ状況です。
写真は浴室内部(洗面・シャワー・トイレが一体となって配置されている)ですが、シャワーの排水が階下(階下の住戸天井内)に配管されているので、これもメンテナンスの時に階下の他人の浴室天井を壊して作業する必要があり、改善の余地が多分にあると思います。
注)10年前の中国も同様でしたが、最近の中国の工業化住宅では、階下への配管はしないようになってきております。
このようにインドのマンションの建築工法おいては発展途上の段階ですが、中国のマンション施工技術の発展状況を見ていると、今後インドでも、施工面、品質面、物流面で大きな進展があるものと思われ、エプコが日本や中国で展開している住宅工業化モデルを、インドでも水平展開できるのではと考えております。
【参考】
こちらの分譲住宅は低層住宅ですがファシリティーも充実している富裕層向けのマンションで、1住戸の平均が約300㎡、価格は300,000USDということでした。
カテゴリー:エプコ