2016年10月28日
子世帯の図にありますように、従来の電気料金プランは従量制の価格体系になっておりまして、電力の使用量に応じて電気料金単価が異なります。具体的には第一段階の料金単価よりも電力の使用量が多くなる第2段階の料金単価の方が割高な料金体系になっております。
また、電力自由化後は親世帯の図にあるように、定額料金と従量料金を組合せた料金プランもあり、電力の使用量に係わらず定額料金の範囲内ならば電気料金は一定というプランも提供されております。
電力のシェアリングサービスは、これらの電気料金プランを活用し、階層ごとに定められている料金単価と使用できる電力量に着目し、安い電気料金単価で利用できる階層の余った電力量の枠と、高い電気料金単価で利用している電力量をシェアすることで、シェアする側とシェアされる側の双方にメリットを出すサービスです。
上図の事例で説明しますと、定額料金プランを利用している親世帯は月に400KWhまでを定額で利用できる電気料金プランですが、今月は350KWhしか使用せず、電力を利用できる枠が50KWh分余っております。
一方で、子世帯の方は料金単価が割高な第2段階の電力を使用しており、親世帯で余った電力50KWhを利用できれば、その分、電気料金が安くなることになります。
個人的な考えとしては、電力会社は親世帯から400KWhまで利用できる電気料金を支払ってもらっており、親世帯の電力量の余剰分を子世帯にシェアしても経営上の損失は無い(少ない)のではないかと考えております。似たような取り組みとしては、通信会社が余ったデータ容量を家族でシェアするサービスを実施済みです。
その他の例で言えば、社会人や学生の単身者世帯で電力使用量の少ない人は、電気料金そのものが下がるといった電力自由化の恩恵は受けずらく、よって、この世帯が電気料金プランを変更する割合は低いのが現状です。
しかし、安い単価で利用できる余った電力量の枠を、電気をたくさん使用したいが、生活の面から節約を余儀なくされている世帯とシェアし、その世帯を電力で支援できるとなれば、そのような料金プランに変えてみようと思うのではないでしょうか。
金銭的なメリットよりも、電力を通じて社会貢献ができることに気づいてもらい、そこに喜びや価値観を感じてもらうことができれば、世界には無い、日本流の電力自由化が浸透するものと考えております。
その発信はソーシャルネットワークであり、若い世代のSNSでのつながりが、電力支援の輪を全国に広げていくのではないだろうかと思います。
このように電力のシェアリングサービスは、これまで電力自由化の恩恵を受けられない多くの世帯が、消費するだけだった電力を、シェアすることにより、電力をもっと身近に感じて活用するきっかけになると考えております。
つづく。
カテゴリー:スマートエネルギー
2016年10月27日
本日は、エプコが特許を取得している電力のシェアリングサービスについてお話しさせていただきます。
今年の4月に家庭向けの電力小売が自由化されてから半年が過ぎ、電力会社や料金プランを変更した世帯は全世帯の約3%に留まっており、電力自由化により市場が活性化しているという状況にはございません。
この理由は各電力会社が電気料金の安さを打ち出したものの、電気をたくさん使い、そもそも電気料金そのものが下がる世帯は全体の10%程度であることと、電気料金以外のポイント還元やセット割引などでお得感を示したことにより、料金プランが複雑になり、消費者が戸惑ってしまっている点があると思います。
やはり電力自由化により市場を活性化させるには、全世帯の90%を占める、電気料金がそれほど下がらないか、全く下がらない家庭に、いかに多く自由化に参加してもらうかがポイントになると考えます。
それには電気料金の安さ以外で自由化に参加してもらう必要があり、カギとなるのが【電力のシェア】ではないかと思います。
私は、電力の自由化前は、電力のネットワーク時代で、電力会社が送電線により各家庭に一方通行で電力を供給しており、電力が近くて遠い存在だった時代と考えております。
一方で、電力の自由化後は、電力のソーシャルネットワーク時代で、電力をソーシャルネットワークでもっと身近な存在にして、電気料金プランを使って様々な世帯と電力をシェアする時代と考えております。
具体的には電気の使用量が少ない家庭の余った電力量枠を、電気を多く使用する家庭とシェアし、電気を多く使う家庭と少ない家庭の双方にメリットのある、電力量枠をシェアできる料金プランを提供します。
それにより電力のシェアリングサービス可能で、それをソーシャルネットワークで広げ、実家とお孫さんがいる世帯でシェアしたり、単身赴任のお父さんとシェアしたり、あるいはボランティアで電力をシェアすることで社会に参加していることを実感できたり、様々な形で電力の和が広がると考えております。
つづく。
カテゴリー:スマートエネルギー
2016年10月21日
本日は電力自由化の進捗状況について、お話ししたいと思います。
家庭向けの電力小売りが自由化された4月から9月末までの半年間で、これまでの既存電力会社から新規に参入した電力会社に電力契約を切り替えた世帯と、既存の電力会社が新たに発表した電気料金プランに再加入した世帯は、合計で188万4,300件になりました。これは電力契約総数の約3%に相当いたします。
その中でも首都圏が108万3,100件、関西圏が38万900件で合わせて全体の約78%を占め、その他の地域は電力の契約切り替えが首都圏などと比較すると伸び悩んでいるのがわかります。
この理由は、電力需要が多く、かつ電気料金が他の地域と比較して割高な首都圏や関西圏に、新規参入組の電力会社が集中し、競争が激しくなったことが要因と思われます。
一方で、電力契約の切り替え件数が、半年間で全体の約3%に留まっているのは、電力自由化前の想定とはだいぶ開きがあると感じている業界関係者も多いと思います。
この要因は、電気料金プランが複雑、電気料金が思っていたより安くならない、電力契約の変更が面倒など、ご家庭によって様々あると思いますが、私が常々考えていることは、電力やガスといったエネルギーに関連する料金は、発電や送電などインフラに係わるコストの割合が料金の大半を占めます。
よって、電力やガスを販売する会社や料金プランを変更しただけでは、毎月の料金に大きな差が出る家庭は少ないと考えております。
日本も少子高齢化や省エネ意識の高まりで、これまでのように電力やガスをたくさん消費しない家庭が増えていく中で、電力会社も割安な料金プランだけでは顧客の獲得は難しくなってきております。
来年の4月にはガスの小売りも自由化され、いよいよ電気とガスの小売り自由化が始まります。
弊社ではこれまで設備設計した約100万世帯の設計データーベースや、約120万世帯のアフターメンテナンスの顧客データーベースを活用し、お客様の住まいや暮らしに合った具体的な省エネ提案で、エネルギー全体の料金削減につながるサービスを展開していきますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
カテゴリー:スマートエネルギー